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『…別に、かまわねぇよ。
…俺は…』
『?』
「…チッ、」
こんなふうに突き放すなら、どうして初めからしなかった?
「、俺は…っ」
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…夕映の教室。
「…夕映ちゃん、大丈夫?
なんだか元気ないみたいだけど…」
「あ、いえ…
大丈夫なのですよ…っ」
「…やっぱり、あの『佐倉』のお目付け役なんて、夕映ちゃんにはムリだったんだよ…
何かひどいことされたんでしょう?
だから、元気がな…」
「っ違います!
雅也くんは、悪いひとなんかじゃありません…っ!」
「ゆ、夕映ちゃん…?」
「…わ、私…」
夕映の視界をさえぎるように、掌が目蓋をおおって。
意味がわからない夕映は、あたふたするばかりで。
「、え…
え?」
「…あの、あなた誰ですか?」
その男は、口端をつりあげて。
「ちょっと借りていくよ?
夕映チャン、
…お茶のいれ方…教えてくれるんだったよな?
二人きりで、」
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いまだ、答えは出てない。
俺は何がしたいのか、
俺はどうしたらいいのか、
…わからないけど
「…冬間に、謝らねぇと」
緊張で早まる鼓動をおさえながら、隣のクラスをのぞきこむ。
予想どおり、ほとんどの奴らは、問題児とは関わりたくないと、勢いよく目をそらす。
普段なら、舌打ちで返すところだが…今は、それよりも…冬間に逢いたくて
「!
『佐倉 雅也』っ!」
「…あ?
誰だ、お前…」
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