02.近づくな。

5/7
6260人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
『…別に、かまわねぇよ。 …俺は…』 『?』 「…チッ、」 こんなふうに突き放すなら、どうして初めからしなかった? 「、俺は…っ」 -------- …夕映の教室。 「…夕映ちゃん、大丈夫? なんだか元気ないみたいだけど…」 「あ、いえ… 大丈夫なのですよ…っ」 「…やっぱり、あの『佐倉』のお目付け役なんて、夕映ちゃんにはムリだったんだよ… 何かひどいことされたんでしょう? だから、元気がな…」 「っ違います! 雅也くんは、悪いひとなんかじゃありません…っ!」 「ゆ、夕映ちゃん…?」 「…わ、私…」 夕映の視界をさえぎるように、掌が目蓋をおおって。 意味がわからない夕映は、あたふたするばかりで。 「、え… え?」 「…あの、あなた誰ですか?」 その男は、口端をつりあげて。 「ちょっと借りていくよ? 夕映チャン、 …お茶のいれ方…教えてくれるんだったよな? 二人きりで、」 ---------- いまだ、答えは出てない。 俺は何がしたいのか、 俺はどうしたらいいのか、 …わからないけど 「…冬間に、謝らねぇと」 緊張で早まる鼓動をおさえながら、隣のクラスをのぞきこむ。 予想どおり、ほとんどの奴らは、問題児とは関わりたくないと、勢いよく目をそらす。 普段なら、舌打ちで返すところだが…今は、それよりも…冬間に逢いたくて 「! 『佐倉 雅也』っ!」 「…あ? 誰だ、お前…」
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!