02.近づくな。

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「大変なんですっ! 夕映ちゃんが、金髪の男に、ムリヤリつれていかれて…っ!」 「!」 「だから、 …あ、…あれ?」 その続きを言い終える前に、特に宛てもなく。 ただ、夕映を探すためだけに、走っていってしまった。 おいてけぼりとされた夕映の友達は、ただ呆然としていたが… その肩に、手の重みが加えられる。 「! ユカリちゃん…」 「へー、意外だったなぁ。 さては夕映に本気でホの字なのカナ? 『雅也兄さん』♪」 ---------- …屋上、夕刻の空。 雅也は、息切れしかけながらも、足は止めず、ただ流れる汗をぬぐって。 …ちくしょう、 「っ…ドコにいるんだよ…」 …バカだった。 もう、すでに目をつけられていたなら、離れないで…ずっと傍にいるべきだったのに 「いまさら気づいたって、…遅いだろーが…」 …冬間、 俺は…お前に 「! いた…!」 普通に通るだけなら死角にあたいする、体育館裏倉庫。 屋上からは、中の様子までうかがえた。 「冬間は… 、無事か」 見た限りでは、気絶しているようだった。 手首が、後ろで一つにまとめられている。 「っ?!」 安心したのもつかの間、気絶する夕映に近づく、複数の影。 体格からして、あきらかに男のものだ。 「、チッ」 人質としてとらえた女をどう扱うかなんて、愚問だ。 答えは、…行為は、一つしかない。 「…軽く、骨の三本はイクかな」
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