00.はじまり。

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…南高校、進路指導室。 今、俺がいる場所だ。 ちなみに、俺の名前は佐倉 雅也。 成績優秀、見るからにマジメで良好な、男子高校生だ。 その俺が、なぜ、進路指導室などという場所によばれているのだろうか。 「佐倉ァアッ!! あれほど髪を黒に染めてこいといったのに…ピアスも! 穴をあけるのは禁止だと、校則にもかいてあるだろう!」 目の前で、あきずに同じことをいつまでも説教しつづけているのは、進路指導担当の山瀬。 あまりにもうるさいから、俺の中でのあだ名は『ガミ男』だ。 そんなんだから彼女できないんだぞ、ガミ男。 「…って、聞いてるのか! お前はっ!」 「聞イテマセン」 「……ッ…まぁ、いい。 そんなお前に、ワンダフォーなお知らせをくれてやろう」 「今どき『ワンダフォー』はないだろ」 「うるさい!! …冬間、入れっ!」 「…は?」 ガミ男は、勢いよく扉のほうを指さしたかと思うと、『トウマ』という名前を、高々にさけんでみせた。 扉から出てきたのは、ネクタイの色から同学年とうかがえる、背の小さい女。 「、あの…っ」 みょうに甘ったるい、その女の声で、意識が鮮明となる。 「あのっ… 今日から、佐倉くんのお側にいさせていただく… 冬間 夕映です! ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願いします…っ」 「…よろしくお願いします、って… …ッ… ガミ男ォオッ!!!」 さて、どうしたことか 佐倉 雅也、17歳。 残りの高校生活、 …どうやら一筋縄ではいかないようだ。 →
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