18.オシマイ。

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むしろ、それを嘲笑うかのように、鼻で笑ってみせて。 「本当に、あなたは何を言っているのかしら。 雅也が、私の傍にいることで『苦しんでいる』とでも言いたいのかしら?」 「『苦しい』、なんてものじゃないです。 …このままでは、雅也くんはあなたに殺されてしまいます」 「あはははははっ! …あいかわらず、面白いことを言うのねぇ…」 声を張り上げるたび、目尻から溢れる涙を頬に感じながらも…夕映は、必死に叫び続ける。 「雅也くんは、私の大事な人です。 雅也くんが私を覚えていなくても…私は雅也くんを覚えています! 不器用で優しくて、いつも私を助けてくれる雅也くんを…今までも、これからも。 …苦しんでいるなら、私が何度だって助け出します。 雅也くんが、…好きだから!」 やよいの眉が、…怪訝そうに潜まる。 「…るさい、」 「雅也くんを守るためなら、私は何だってします。 …あなたなんて、恐くありません…!」 「…うるさい…」 「あなたに何をされようと、私は…っ!」 「うるさいって言ってるだろうがぁぁああああ!!!」 ドクンッ…! 全身が震えたような錯覚さえ覚える。 一瞬ひるんでしまった自分をなぎはらうかのように、夕映は首を横に振って。 「…もう、やめろ。 トウマユエ」 「、雅也く…?」 前触れのない呼び掛けに、夕映は小さく息を飲んで。 やよいは、握り直したナイフを一度振ると…雅也を睨みつける。 「…何よ、雅也」
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