18.オシマイ。

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「もう、やめてくれ…母さん。 俺は逃げない。 …ずっと、母さんの傍にいる。 だから、…その女は、」 ダンッッッ!! 「ッ、ぐぅ…っ!」 「っ、いやぁぁあ!」 雅也の腹部に入れられた蹴りが、苦しさを誘い… その部位をかばうように腕を交差させながら、雅也がゆっくりとその場にうずくまる。 …やよいが、雅也の頭を乱暴に掴みあげた。 「雅也くん、…雅也くん…ッ!」 「…こっちにお仕置きしたら、今度はアンタがうるさいのね。 …ま、いいわ。 何も手を出せないように、雅也の腕を切り取ってから…アンタのお仕置きを再開してアゲル」 倉庫の壁にかけられていた、少し古い日本刀を…やよいが、頭上にかざす。 「大丈夫よ、雅也…痛いのなんて、ほんの一瞬なんだからね。 本当は、そのうるさい口を奪ってやりたいのだけど…雅也と会話出来なくなるのは、私がイヤ。 …でも、腕なんかなくなったって、…私がいるのだから…」 『病んでいる』、と思った。 …そして、その原因は、他でもない自分なのだと…雅也は自覚していた。 「、母さん…!」 「…あなたが悪いんだもの。 私は、全然悪くないわ。 …雅也が、あんな女をかばうから…ッ!」 思いきり頭上に振り上げられた日本刀。 その痛みを少しでもやわらげるべく、唇を深く噛み締めていたはずなのに… …痛く、ない…? かたく閉じていた目蓋を、ゆっくりと開いていく。 …この光景は、何だろうか?
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