18.オシマイ。

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ドサッ、! 『何が起きたのか』。 考え、判断する間もなく…目の前に倒れた人物に、腕をのばして。 『ヌルッ』、とした感触は…何なのかと。 「…トウマユエ…?」 温かくて、 紅い液体。 華奢(きゃしゃ)な体から絶え間なく流れているソレを『血』と判断するのに、そう時間は要さなかった。 ズキン、… 「…痛、…」 母さんによって消された記憶が、必死に叫んでる。 『思い出せ』と。 記憶が、俺の頭を何度も何度も蹴りあげる。 『早く思い出せ』と。 「…あーぁ…バカじゃないの? アンタ」 日本刀を肩にかけ、自分の足元に倒れている少女の傍らにしゃがみこむと、その表情をおもむろに覗き込んだ。 「わざわざ飛び込んでくるなんてねぇ…ホント、予想だにしなかったわ。 …せっかくだし、アンタを先に殺しましょうか?」 ドク、ン…!! …あぁ、そうだ。 『コレ』は、昔にもあった事だ。 しかも、初めてなんかじゃない… …俺は、 「! …雅也…?」 「…何の冗談だよ、これは」 俺は、 …何度も夕映に助けられた。 「あらあら…。 もしかして、記憶が戻ったのかしら? 雅也?」 夕映をかばうように、その身を懐に引き寄せながら…雅也が、やよいを上目に睨みつける。 「そうだ。 …またアンタに逢うなんて、悪夢を見ている気分だ」 「言葉遣いには気をつけなさい? …寿命が縮むわよ」
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