03.…ごめん。

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「…あ゛ー…痛ェ」 木がクッション代わりになってくれたお陰で、思ったよりも損傷は少ない(はず)。 少なくとも、表向きだけは。 …冬間を救える力さえ残っていれば、 「…バカみてぇだな、…自分」 改めて考えると、五段飛ばしくらいの勢いで階段をおりていったほうが、早くて安全だったのではないか、とすら 「…まァ、今更だがな」 体が、『早く冬間を救え』とせかしていたから、 それに従っただけだ。 「…、」 葉っぱでよごれた制服をはらってから、『近道』のおかげで、すぐ傍となった体育館倉庫を見すえて。 「…今、行くから」 たぶん、捕まってンのが、冬間以外の、見知らぬ誰かだったら… 俺は、こんなに必死にはならないと、自信をもって言える。 …なら、どうして… 冬間のことになると、こんなに必死になっている自分がいるのか、…なんて 「…哲学を解いてるヒマはねぇな」 …きっと、理由は今にわかるから。 ---------- 体育館倉庫内。 夕映は、妙に重たいまぶたをゆっくりと開きながら、まわりの状況をたしかめるように、目を走らせる。 頭と頬、全身をよぎる痛みに、眉をひそめて。 「…オハヨウ、夕映チャン」 「! …ユウジ、さん…」 …思い、出した… 私、この人に捕まって… …雅也くんを、おびきだすための。 …でも… 「…雅也くんは、来ません。 だから、」 「…『私を解放シテ』ってか?」
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