18.オシマイ。

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日本刀の切っ先を、雅也の眼前につきつけて。 やよいは、不適に笑みを滲ませる。 「その女を守って、ナイト気取り? …痛いわねぇ」 「そんなのじゃない。 …ただ、俺がコイツを守りたいと思っただけだ」 「あははっ! …それを、世間ではナイト気取りというのよ」 雅也が、小さく息を飲んだ…刹那、 「…ます、」 「、え?」 グッ、…! 日本刀の先端に、何かの圧力。 そこに視線を落とすと、…夕映が、震えた掌で日本刀を握り締めていた。 「夕映っ?! お前、意識が戻って…」 「ナイト気取り、なんかじゃ…ない、です。 雅也くんは、…いつも私を守ってくださいます…っ!」 日本刀を握る力が、段々と強まっていく。 …その隙間からは、紅い血が滴って。 「もう、やめてください…。 あなたは、…やよいさんは、寂しかっただけなんですよね…?」 「っ、はァ? アンタは、何を…」 「お父さんや、はるきさんを殺したこと…本当は、後悔しているのでしょう…? 雅也くんを苦しめて、…縛り、閉じ込めたことも…後悔しているはずです…っ」 指の隙間から流れる血も、傷口から溢れるソレも…止まることを知らず、床に血溜まりを作る。 夕映の表情が、みるみるうちに青ざめていく。 「っ、もう喋るな、夕映…! 傷口が開くだろーが!」 「やよいさんは、優しい…から。 本当は、後悔しているのに。 もう、後戻り出来ないと…勝手に、決めつけているから…っ!」
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