18.オシマイ。

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…数日ぶりに見たやよいの頬は、少し痩せこけている。 …否、本当は…ずっと前から気づいていたけれど、見ないフリをしていただけで。 こんな小さな女性(ひと)に、恐怖を覚え、憎しみを持っていた自分が…何だか情けなくて。 「…あの子は、もう大丈夫なの?」 「、あぁ…夕映か? 傷を針で縫って輸血して、様子見で入院したけど…もう退院したよ」 「そう。 …よかったわ」 …一瞬、流れる沈黙。 それを先に打ち破ったのは、やよいだった。 「…はるきのこと、だったわね」 ドクン、… 「雅也が思い出した通りよ…。 はるきは、…父さんの浮気相手の子供なの」 雅也の肩が、…かすかに揺れる。 「…ユカリは、昔はどこかおっとりとした子だったから…記憶の片隅にもないのかもしれないわね…。 はるきを出産していない、なんて」 …そう。 薄らとしか覚えていないが…はるきの出産に立ち合った記憶がないのだ。 今思い出すと、…母さんの腹も、膨れていた記憶がない。 どうして、今までまったく思い出せなかったのか…この矛盾だらけの『記憶』を。 「父さんの浮気が発覚してね、問い詰めたのよ。そしたら、なんて言ったと思う…? 謝るわけでもなく、開き直って、 『相手に子供が生まれた。 相手は大学生で、育てる能力も金もない。 俺の子供だから、引き取っても構わないだろ』…ですって」 私は、…『うん』と、頷くしかなかった。
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