18.オシマイ。

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はるきは、私を『ママ』と呼んだ。 『私の子供』じゃないのに。 …それでも、『あの人の子供』だから…って。 私は、必死に『はるき』を愛そうと頑張った。 「それでも、やっぱり…ダメだったわ」 はるきが成長して…見せる面影は、『あの人』と『違う女』のモノで。 日々積もっていくのは、…『憎しみ』ばかり。 「私がはるきに注いでいた『偽の愛情』…気づかなかったでしょう? …雅也がはるきを見る目は、『子供心の嫉妬』だった」 「…そりゃ、『偽の愛情』なんて、気づくワケないだろ。 その時は、何も知らなかったんだからさ」 「そうよね。 …そして、私は…ソレを利用した」 今にも溢れてしまいそうな『殺意』。 一人で警察につかまるなんて…イヤ。 …それなら、 「…雅也を、利用した」 『一人』ハ、イヤダカラ。 「! 母さん…」 「…っ」 やよいの頬をたえまなく伝うのは、…何だろうか。 『涙』なんて、そんなモノじゃない。 『後悔』 『苦しみ』 …それとも、 「ごめんね…雅也。 ごめんなさい…っ!」 「、母さ…」 …ピピ、ピピ、 「…時間です」 無機質に告げられた『時間切れ』に、やよいは服袖で涙を拭うや否や… 勢いよく立ち上がり、雅也に背を向ける。 「…じゃあね、雅也。 今日は、来てくれて…ありがとう」 「っ、…俺は!」 どこか切羽詰まった声色にも…やよいが振り返ることは、なくて。
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