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母さんが逮捕されて、数ヵ月という時間がたった。
その間にも色々あって…
ユカリに、父さんとはるきのことを話すと…
怒るわけでもなく、悲しむわけでもなく…ただ、穏やかに眸を伏せながら、
『話してくれてありがとね』…と言った。
それに続いて、『それでもはるきは、私の弟だから』…とも。
…ユカリが、本当は何を考えているのかは…昔からわからない。
それでも、ユカリには万里先輩がいるから…それだけで大丈夫だと思えた。
…俺に、夕映がいてくれたように。
あの日、父さんとはるきの墓参りに行ったとき…
夕映は、一言挨拶をしたあと、そのまましゃがみ込み、手を合わせて…しばらく、何も話さなかった。
俺は、その後ろで立ち尽くすことしか出来ず…声も、かけられなかった。
…ふと
なぜだか無性に胸が騒いで、夕映の表情を確かめるべく、横から覗き込んで…言葉を、失った。
『…っ、』
そして、夕映が…ゆっくりと口を開く。
『…お逢いできなくて、本当に残念に思います。
こんな得体の知れない人が来て、困惑しているやもしれませんが…でも、安心してください。
雅也くんは、お二人の分も含めて、私が必ず幸せにします。
それを証明…ということにしていただければ幸いです。
…それと』
『、?』
『やよいさんのこと、もう許してあげてくださいね。
たくさん、たくさん…反省しています。
無関係の私が言うのは、とてもおこがましいですが…どうか、よろしくお願いします』
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