03.…ごめん。

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「違いますっ! …ただ…」 「…ただ?」 「っ雅也くんを、解放してください…あなたから」 「…あ?」 「私は、どうなっても構いません… だから、もうこれ以上…雅也くんを苦しめないでください…」 「…」 …何が、コイツらをそんなに繋ぎあわせているのだろうか。 オレから言わせてみれば、『依存しあっている』といっても過言ではない。 …『何』が、 「…バカじゃねぇの? もう少し、自分の立場ってやつを理解したらどうなんだ。 命令できる立場かよ?」 「命令なんかじゃ、ないです…っ。 ただ、…ただ、もう、あんなに優しい人を傷つけてほしくないんです…っ」 「ハハッ! いまだにお前を助けにこないヤツが、『優しい』のかよ? てめェの目は節穴かァ?」 …ギィィ、… 「…確かに、節穴だな。 ソイツの目は」 ひびく、重たい扉の開閉音。 振り返ると、 …そこには 「雅也くん…っ?!」 「やーっと来たのかよ。 待ちくたびれちゃったぜ、雅也クンよォ」 「…な、なんで…」 「勘違いすんなよ、冬間。 …ただ、今俺は機嫌がすこぶる悪くてな。 …無性に、誰かをなぐりたい気分なんだ」 「っだ、だめです…! 問題をおこしちゃったら、雅也くんは…っ!」 涙をながして、必死に首を横にふる冬間。 …なぁ、やっぱり気づいてないんだろ? 本当の、『俺がここに来た理由』… 「…退学がこわくて、好きな女がヤラれるのを黙って見てるだけなんて、できるかよ」
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