19.将来の夢。

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無意識か、否か。 夕映の頬をたえまなく伝うモノを見て… 『愛しい』、と。 『夕映を守れるのは俺しかいなくて、…また、俺を守れるのも、夕映だけ』なのだと。 …『好き』だ。 ------------ 二年生も半ばに差しかかった頃、『進路』という単語をいやに聞くようになった。 …そういえば、俺は何がしたいんだろうか。 「僕は無難に国立を狙ってるよ。 数年分の過去問のほとんどは、9割取れていたからね」 「うっわぁ…さすがですね。 まぁ、あたしたちと一緒に放課後寄り道してる時点で、ホントに余裕あるんだなーって思いますけど」 「万里兄さん、家でもあまり勉強してないんですよ。 短期集中型、みたいです。 ユカリちゃんは、何か進路考えているんですか?」 「んーと…一応、看護・福祉系に進もうかなぁ、とは思ってるカナ。 …母さんのこともあるし。 ね、夕映は?」 「私は…一応進学を考えています。 O大学の経済学科が、レベル的にも丁度いいんじゃないかって…」 「O大なら、あたしが考えてる専門学校と近いじゃん♪ 万里先輩の狙ってる大学も、駅一つ分だからそんなに離れてない、…し…」 ふと。 先ほどから脳裏にちらついていた疑問の答えを確かめるべく、ユカリと夕映、万里はある人物を見据える。 ちなみに。 四人は、学校の近くの喫茶店にいる。 受験生であるはずの万里も含め…四人は毎日のように寄り道をしているのだが、 最近の話題はといえば…『コレ』ばかりで。
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