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無意識か、否か。
夕映の頬をたえまなく伝うモノを見て…
『愛しい』、と。
『夕映を守れるのは俺しかいなくて、…また、俺を守れるのも、夕映だけ』なのだと。
…『好き』だ。
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二年生も半ばに差しかかった頃、『進路』という単語をいやに聞くようになった。
…そういえば、俺は何がしたいんだろうか。
「僕は無難に国立を狙ってるよ。
数年分の過去問のほとんどは、9割取れていたからね」
「うっわぁ…さすがですね。
まぁ、あたしたちと一緒に放課後寄り道してる時点で、ホントに余裕あるんだなーって思いますけど」
「万里兄さん、家でもあまり勉強してないんですよ。
短期集中型、みたいです。
ユカリちゃんは、何か進路考えているんですか?」
「んーと…一応、看護・福祉系に進もうかなぁ、とは思ってるカナ。
…母さんのこともあるし。
ね、夕映は?」
「私は…一応進学を考えています。
O大学の経済学科が、レベル的にも丁度いいんじゃないかって…」
「O大なら、あたしが考えてる専門学校と近いじゃん♪
万里先輩の狙ってる大学も、駅一つ分だからそんなに離れてない、…し…」
ふと。
先ほどから脳裏にちらついていた疑問の答えを確かめるべく、ユカリと夕映、万里はある人物を見据える。
ちなみに。
四人は、学校の近くの喫茶店にいる。
受験生であるはずの万里も含め…四人は毎日のように寄り道をしているのだが、
最近の話題はといえば…『コレ』ばかりで。
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