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そして、『その』話題が始まると同時…押し黙る人物が一人。
「そういえば、雅也は何か考えていないのかい?
雅也の口から『進路』とか『将来』って言葉を聞いたことがないんだけど」
「兄さんも頭いいんだし、やっぱり進学?
国立あたり狙っちゃうの?」
「、俺は…」
「なんなら、僕と一緒のトコに行くかい?
『ナカヨク』キャンパスライフを楽しもうよ」
「…万里先輩、なんかうさんくさいです」
そのまま話が逸れていき、盛り上がる万里とユカリを余所(よそ)に…雅也は、俯いて。
…夕映は、それを心配そうに見据えることしか出来ず…。
『…雅也くん…?』
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「じゃ、ここからは別行動ね。
兄さん、ちゃんと夕映のコト送るのよー?!」
「わかってるっつーの。
さっさと行け」
「あっ、ヒッドーイ!
もう、兄さんのことなんか知らないから!
…夕映、また明日ね♪」
お決まりの喫茶店にて、四人で語り合ったあとは…雅也と夕映、万里とユカリに別れ、それぞれデートを楽しむのが定番になりつつあった。
それに倣い、今日も二対二に別れるまではよかったのだが…
「じゃあ、またね。
夕映、雅也が少しでもヒドいことをしてきたら、すぐに電話するんだよ?」
「大丈夫なのですよ、万里兄さん。
ユカリちゃんも、明日学校でお逢いしましょう」
「おぅ♪
じゃーねーっ」
嵐のごとく、あっという間に去っていく二人を視界にとらえつつも…夕映は、雅也を上目に見据える。
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