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買った当初は小学六年生だったから、というのもあるが…何が書いてあるのか、微塵にも理解出来ず。
…だから、たくさん勉強して…この本を読めるようになりたいと思っていたのだろう。
「アルバムを見返さなかったら、一生忘れてたんだろーな…多分」
一ページ、また一ページ。
ゆっくりと、それでいて真剣に、本のページを次々とめくっていく。
完全に、『本』に没頭してしまっている自分に気づくことがないまま…
雅也が、その日眠ることはなかった。
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「ふぁぁあああ…」
「…雅也くん、今日はたくさんアクビをなさっていますね。
寝不足ですか?」
昼休み、四人は食堂に集まり、弁当をつっつきながら話に花を咲かせていたのだが…
一人、まったく話にくわわらず、もうすでに何十回目になるのかわからないアクビを、ひたすらくり返す男がいた。
…言わずもがな、その人物とは…雅也なのだが。
「あたしビックリしちゃったもん!
兄さんを起こしに行ったら、朝だってのに部屋の電気つけて何かの本読んでたのよ。
多分、夜通し。
話し掛けても反応しないから、本読みながら死んだのかと思っちゃった」
「…ヲイ」
「まぁまぁ。
でも、珍しいのは確かだよね。
ちなみに、雅也はどんな本を読んでたんだい?
エロ本?」
「ふぇっ?!」
「ッ?!
ちょっ…変なこと言わないでくださいよ、万里先輩!
コイツが本気にとったらどーするんだ!」
「どうもしないね」
「…あのー…」
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