19.将来の夢。

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なかば漫才じみたやり取りをくり返す二人は日常茶飯事だ、と言わんばかりに、ユカリは『飲み物買ってくる~』と、まるで何事もなかったかのように自販機のほうへ向かって行った。 それに気づくや否や、その後を万里が追って… 雅也が、ため息混じりに元の席へ腰かける。 「ったく…ドコまで人をからかえば気が済むんだ、あの人は」 「万里兄さんは、雅也くんがお気に入りだそうですから…構いたいんだと思います」 「…嬉しくないな、ソレ」 「ふふ。 …それにしても、徹夜をしてまで何の本を読んでいたんですか? 今日、小テストはなかった気がしたんですけど…」 「あぁ、違ェよ。 …その」 言葉の続きを待ち望むように、夕映は息を殺して。 雅也はといえば、妙な気恥ずかしさを紛らわせるべく、視線を泳がせている。 「…その、さ。 決まったかもしれない」 「? 決まった、とは…?」 「…将来のユメ」 「!」 夕映の表情が、みるみるうちに嬉々で染まっていく。 その反応は、予想出来ていたとはいえ…やはり、どこかくすぐったい。 「小学六年のときのアルバム引き出してさ、そこに将来の夢が『宇宙飛行士』だって書いてあったんだよ。 …まぁ、宇宙飛行士は無理でも…それに携わる研究。 そうだな、たとえば…宇宙理論学者。 星間距離とか、並びを使って…」 …なんて、楽しそうに…それでいて、とても嬉しそうに話す雅也くん。 もしかしたら、こんな雅也くんは…初めて見たかもしれません。
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