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「…よかったです。
本当に…よかったですね…っ!」
「…あぁ」
笑った顔が可愛くて。
思わず、夕映の頭をくしゃくしゃに撫で回していた。
夕映も、頬を羞恥と嬉々に染めて…小さく笑い声を零す。
「…さて、そろそろ行くか。
昼休みが終わっちまう」
「はいっ!」
…いつだって、俺に『当たり前』を教えてくれる。
いつだって、俺に『キッカケ』をくれる。
…一生、大事にしたいって思うんだ。
夕映が、自ら俺の元を離れることを望むまでは…一生離す気はない。
…否、嘘をついた。
きっと、俺は…どんな手段を使ってでも、夕映を引き止め…離さないのだろう。
…そう、信じてた。
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『2年の佐倉雅也、
至急、職員室の山瀬まで。
くりかえす、2年の…』
「…あ?」
衣替えも済み、肌寒さを覚え始めた頃…
昼休みに流れた放送は、雅也に疑問と驚愕を与えた。
「ガミ男から呼び出しなんて、何かやらかしたの?
兄さん」
「いや、…特には思い当たらないんだが…」
「『ガミ男先生』、何だかお久しぶりですね。
確か…私と雅也くんを初めて引き合わせたのが、ガミ男先生で。
…本当に、懐かしいです」
「!
…バカ、自分で思い出して照れてんなよ」
「、えへへ…」
「…ヲイコラー、そこのバカップル。
ワタシのコト見エテマスー?」
自分を空気扱いし、ピンク色のオーラを撒き散らす雅也と夕映を、ユカリは冷えた目で見据える。
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