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「だッ、誰がバカップルだ!
変なこと言うな!」
「誰って、兄さんたち以外に誰がいるのよ。
それに、ホントのコトだしぃ…。
てかさ、早く行ったほうがいいんじゃない?」
「っ…わかってるっつーの!」
乱暴に言葉を吐き捨て、すさまじい勢いで廊下に駆けていく雅也の背中に、ユカリと夕映はハンカチを振るのだった…。
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「おぉ、来たか。
まぁ座れ」
「…失礼シマス」
放送で指示された通り、職員室に向かって。
机に座り、何かの書類とにらめっこをしている山瀬に話し掛けたまではよかったのだが…。
なぜか、そこで用件を話すことはなく…山瀬は、わざわざ無人の進路指導室を選び、移動した。
「?
何なんスか、変に改まって…」
「いやな。
お前、この前の進路希望調査表…ちゃんと出してくれただろう?
先生は嬉しくてなぁ…。
今まで、一度もまともに提出したことがなかった佐倉が、ちゃんとした夢を見つけて…っ!」
「…前置きはもう結構なんで、用件をどうぞ」
もはや、どう反応すればいいのか分からない雅也は、一刻も早く教室へ戻りたいが故に、言葉をうながしたのだが…、
「あぁ、それもそうだな。
…佐倉、本気で宇宙飛行士を目指さないか?」
「…え?」
「何なら、研究者でもいい。
…先生の知り合いに、宇宙物理・理論学科があるB大学の教授がいてな。
お前のことを話したら、とても興味を持っていた。
『卒業後、ぜひともウチに来てほしい』そうだぞ」
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