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「、え…?」
「ハハッ!
ついに言いやがったなァ!
…佐倉 雅也の名が泣くぜ!
一人の女にご執着、なんてよォ!」
「…、れ」
「あ?」
…ダァンッッ!!
「…『黙れ』、と言った」
今はもう使われていない、部活に使われていたのであろう得点板が、雅也の拳によって、七割方…粉々にくだけていく。
ほぼ、原型をとどめていない。
「…おもしれぇ…
だが…お前、忘れてないか?」
「、あ?」
「、きゃ…っ!」
「!」
声のしたほうへ、おもむろに振りかえると…ユウジの仲間であろう男が一人、夕映の顎をつかみ、そこにナイフを宛てがっていた。
夕映の目尻に、涙がにじむ。
…が、
「…に、逃げてくださ…雅也く、」
「…冬間」
「わ、私
どうなっても、かまいません…だから、」
『黙れ』、と言わんばかりに、ナイフの先が、夕映の首筋にをかすめる。
その部位からは、一筋の血が流れて、
「っやめろ!!」
「…なァ、雅也クン。
お前は覚えてないのかもしれないが…知ってるか?
ここにいるヤツら、一度はお前にボコボコにされたんだよ」
「…」
「だから、ちょいと数発ばかり殴らせてくれれば…
夕映チャンを返してやらないこともないぜ?」
…卑劣、だな
「…好きにしろ。
そのかわり、今すぐ冬間を放せ。
俺は、逃げも隠れもしねぇよ」
「ハハァッ!
聞いたかよ、お前ら!
あの『ケンカ負け知らずの雅也クン』が、好きに殴らせてくれるってよォ!」
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