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食った食った、と、心底満足げに笑みを滲ませ、つまようじを歯に挟むそのサマは、まるでおっさんだ。
「そーかそーか、万里がなぁ…。
ところで、夕映はどうなんだ?
彼氏」
「あ、…えっと…」
「夕映?」
不意、あからさまな気分の落ち込みを表情に滲ませる夕映に、蘭伽は目を光らせる。
「ちょっと、…いえ。
とても、雅也くんを困らせてしまって…」
…『マサヤ』。
『サクラマサヤ』。
『…やっぱりな。
佐倉から「ユエ」という名前を聞いたときは、まさかとは思ったが…。
高校も学年も同じだし、私の目に狂いはなかったようだ』
まぁ、かなり『意外』ではあったが…。
「困らせたって、…どうしたんだ?」
「…雅也くんの夢。
見つけたって聞いたときは、本当に本当に嬉しかったんです。
『宇宙学科』は、全国にも数ヶ所しかなくて…離れなくちゃいけないっていうのは、理解していたはずなんです。
…でも…その前に、M高校に転入するかもしれないという話を、…立ち聞きしてしまって。
あと数か月もしないうちに、雅也くんがいなくなってしまうなんて…考えたく、なくて」
本当は、困らせるつもりなんてなかった。
笑顔で『待ってます』って。
『いってらっしゃい』、って、言いたかった…。
「…悔しいです…っ」
寂しい、…寂しい。
でも、それ以上に…雅也くんが見つけた夢を、叶えてほしい。
「…本当にぶきっちょだな、夕映は。
…心配するな」
「え…?」
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