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「……う゛ー…む、」
こうして、とある場所で立往生し、唸っていて…どれくらいの時間がたったのだろうか。
「…バカみてェ、だが。
…俺なりのケジメ…だからな」
気合いを入れるように、雅也は小さく握り拳を作ると…足取り強く、ある場所へ入って行くのだった。
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…私は、本当にズルいです。
雅也くんの優しさに付け込んで、…そのまま、M高校に行かなければいいのに…なんて。
私、バカでした。
『…雅也くん…』
どんなに離れていても、私の気持ちは変わらないのと同じで…
きっと、雅也くんも、
『…雅也くん、』
初めから、不安になることなんて…何もなかった。
『雅也くん…!』
「…夕映?」
「、え…っ」
雅也の家へ向かう途中にある、公園の階段を上ろうとした矢先…
その頂きに見えるのは、…今、一番逢いたかった人。
そして、雅也もまた…夕映に逢うべく、近道になる公園の階段を下りようとしていたのだった。
「何、やってんだ…?
ンな、息を切らし、…て」
、フワ…
言葉を遮るように、小さな体が懐へ飛び込んできて…
それを受けとめるべく、両腕を伸ばそうとしたのだが…片手にぶら下げていた『あるモノ』に邪魔をされ、それは叶わず。
二人してバランスを崩し、その場に座り込む形となった。
「、痛…ッ。
お前な、飛び込むなら飛び込むって…!
…いや、それより怪我は…」
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