21.ヤクソク。

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「雅也くん、…いってきてください」 「、え?」 「M高校に! …私、間違ってました。 寂しいのは、私だけじゃないのに…悲しみに浸って、雅也くんを困らせて。 …最低です」 「、違…!」 不意、唇に重ねられた温もり。 一瞬だけ触れたソレは、…いやに柔らかくて。 「…私、待ってます。 『ずっと傍にいる』という約束は、守れなかったですけど…そんなのは、いくらだって上書きが出来るものなんですよね? …だから、約束します。 私、冬間夕映は…雅也くんを、『待っています』」 好きだから、寂しい。 好きだから、傍にいたい。 好きだから、離れたくない。 …でも、好きだから…信じれる。 待っていられる。 …誰よりも、あなたの支えでありたいから。 「…夕映…」 夕映の決意は…雅也に、わずかながらも驚愕を与えていた。 …そして、同時に。 「…夕映。 少し屈んでみろ」 「え…?」 「いいから」 「あっ、…はい…」 いまだ意図は掴めずにいるものの、言われるがまま、夕映は身を屈ませて。 視界の端、雅也が小さな袋から何かを取り出しているのを見据えながら。 「、雅也く…?」 「俺は、お前がいないとダメなんだ。元からダメ人間だったってのに、…お前がいないと、俺は暗闇から立ち上がることすら出来ない。 お前は、俺の『光』だ。 今までも…これからも」 チャリ、… 首元に、ひんやりとした感触。 そこに、視線を落として…。
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