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『るっせェな!
ドイツもコイツも!
っざけんな!』
…『なのに、』
『てめェらは全員消えろ!
今すぐ!
…理解しようともしてねぇくせに、知ったかぶりすんな!!』
…涙が出た。
彼が、怖かったからじゃない。
彼が、
…もろくて、いとおしくて
涙が出た
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「…本当にうっすらとしか、覚えてないが…そういえば、どなったかもな。
…『ウワサ』がどーのこーのって、一部のヤツらがうるさかった…気がする」
「…それから、雅也くんは学校にこなくなってしまって…
それでも、私の頭の中には…雅也くんがいて」
「!」
「私、『ウワサ』の内容おぼえてます。
雅也くんが、母子家庭だということについて」
「…あぁ、」
「雅也くんのお母さんは、『人殺し』だって。
だから、離婚されたんだって」
…そう、だったな
「…お前も、ソレ信じたのか?」
「いいえ。
…でも、そのことが本当でも、うそでも…
『ウワサ』で雅也くんが苦しんでるなら、私は何とかしたいって…思ってましたよ」
『ウワサ』なんて、どうでもよくて。
私が知ってるのは、
桃味のアメをくれた、
おだやかに笑う、
やさしいオトコノコ
「…お前は、俺のコト買いかぶりすぎだろ」
「そんなことないのですよ。
これだけは、誰に何を言われようと、…たとえ相手が雅也くんでも、
絶対にゆずれません」
…変なヤツ。
だって、
…そんなこと、今まで誰も言ってくれなかった。
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