04.…触れて。

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…ダメだろ、俺 きっと、唇が触れあった瞬間… 俺は、冬間をめちゃくちゃに壊してしまう。 「、雅也く…!」 「たっだいまー 夕映ー! ついでに雅也ー!」 「!!」 「、お兄ちゃ…」 先輩の、一階からの叫び声と 冬間の言葉で、意識が鮮明となる。 …何してんだ? 俺、 「…っ…!」 「、雅也くん?!」 名前を呼ばれた気がした。 …でも、振り返ることはできない。 雅也は、勢いよく万里の隣をすり抜けると、雨で水浸しのカバンをかかえて、外へ走って行ってしまった。 …とにかく、 走って、 走って、 雨なんか、気にしない。 …むしろ丁度いいとさえ、思える。 …この上がり続ける熱を、沈めてくれ 「…っ!!」 商店街に置いてあったゴミ箱を、けり上げて。 近くの電柱を、拳で殴った。 …俺は、 何をしようとした? 「っ冗談じゃねーぞ…!!」 そんなこと、シャレにもならない。 ましてや、笑い事になんかなりやしない。 …欲情、したんだ。 俺が、…他の誰でもない、冬間に… Next.. →
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