01.冬間夕映。

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「リアルに無理ッス」 「即答するな! …まぁ、そんな反応も予想済みだ。 そこで、お前に『お目付け役』をつけることにした」 ……… 「…オイ。 まさか、その女が『お目付け役』とやらになるんじゃねェよな…?」 「大正解だ、佐倉。 さすが、頭だけはいいな」 「ッざけんな!!」 雅也が叫ぶと同時、彼は近くにあった、ぶ厚い教本を手にとると、それを机にたたきつけた。 夕映の肩が、こわばる。 「…っ…認めねェからな!」 「、待て! 佐倉!」 ……ダンッッ!! 力強く、扉がしめられる。 ため息をつくガミ男をよそに、夕映はその扉を見つめていた。 「…佐倉さん…」 ------------ 「…あー、…たりィ。 サボるか」 雅也は、中庭にいた。 そこは木が多く、死角ばかりというだけではなく、 なにより職員室・進路指導室とは正反対の場所にあるのだ。 「…一時間目おわったら、屋上にいくか…」 本来の、彼のテリトリーは屋上だ。 だが、最近は屋上でサボる生徒がふえて、 一時間目は、見張り番の先公が、交替でつくことになっている。 「どーせ見張るンなら、放課後まで見張れよな…。 …まぁ、俺はそのほうが助かるんだけど…」 「……さ…!」 「……あ?」 仮眠をとろうと、目をとじたのも束の間… かすかに聞こえた、女の声。 だが、いくらまわりを見渡しても、人の気配はない。 「…空耳、か…?」
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