05.自覚した。

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「…っ…」 …私は… ---------- 「らぁあっ!!!」 誰かを殴るたびに、 「や、め…やめてくれぇ…!!」 コイツら…ゴミが、『助けてくれ』と、泣きながら懇願するたびに 「るっせぇよ! 消えろ!!」 頭が、真っ白になっていく… 「…はぁ、…はぁ、」 荒ぐ呼吸をととのえるように、肩を大きく上下させて。 足元で気絶する男の一人の頭を、踏みつける。 「…俺を倒すんなら、…百人くらいつれてこいよ、な…」 頬に付着した血を、手の甲で乱暴にぬぐう。 …何度も、何度もぬぐっても、取れない。 「…、くそ…」 …ちくしょう、 ちくしょう 「…やぁ、雅也」 「、万里…先輩…?」 …不意に、鼓膜をよぎる、聞き覚えのある声。 振りかえると、万里が、何とも楽しそうに笑みをにじませながら、後ろで指先同士をからめ合わせている。 「おやおや、すごい暴れっぷりだねぇ。 ビックリしちゃうなぁ」 そう言いながらも、雅也と同様、万里も足元の男を足蹴する。 「この男、前から雅也をうらんでた男だったねぇ。 ふふ、失神してる」 「…何の用ですか」 「用がなくては、話しかけちゃいけないのかい?」 さも、当然のように言ってのける万里に、雅也は口をつぐんで。 …何も、いえなくなってしまう。 俺は、…昔からそうだ。
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