05.自覚した。

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カンジンな所で怖気(おじけ)づいて、逃げて。 ひたすらに、言い訳を探す。 「…雅也、次は僕のオトモダチがお呼びだよ。 何でも、昔君に前歯を二本折られたんだってさ。 …南校舎の体育館で待ってる…ってさ」 「…」 それだけを、伝えにきたというのか。 …何かを、…もっと 重要な… 「うぬぼれんなよ、雅也。 …お前にかけてやるような生やさしい言葉を、俺は持ち合わせてねぇんだ」 …この、二重人格。 先ほどまでの優しい雰囲気は消えうせて、殺伐(さつばつ)とした様子をみせる万里に、雅也は内心で舌打ちをした。 おそらく、…いや、絶対に。 冬間は、こんな姿の万里先輩を知らないだろう。 「…上等ッスよ。 一分もたたないうちに、片づけてきます」 「…そう。 ふふ、たのもしいねぇ…」 …何とでも言え。 俺は、…もう、戻れはしないのだから。 ------------ 南校舎、体育館。 そこは、すでに使われておらず、ガラス窓は割れ、カビ臭く、ゴミがあたり構わず散乱している。 …ゆえに、普段は誰も近づかない場所だ。 ケンカをするには、ある意味もってこいの場所ともいえる。 「…待ってたぜ、佐倉」 「…」 …もう、戻れないなら、 「わざわざ来てくれるなんてなぁ、感謝のココロでいっぱいだぜ」 もう、戻れはしないのだから、 「、聞いてンのかぁ?!」 俺は、…全てを捨ててみせるから。 Next... →
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