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カンジンな所で怖気(おじけ)づいて、逃げて。
ひたすらに、言い訳を探す。
「…雅也、次は僕のオトモダチがお呼びだよ。
何でも、昔君に前歯を二本折られたんだってさ。
…南校舎の体育館で待ってる…ってさ」
「…」
それだけを、伝えにきたというのか。
…何かを、…もっと
重要な…
「うぬぼれんなよ、雅也。
…お前にかけてやるような生やさしい言葉を、俺は持ち合わせてねぇんだ」
…この、二重人格。
先ほどまでの優しい雰囲気は消えうせて、殺伐(さつばつ)とした様子をみせる万里に、雅也は内心で舌打ちをした。
おそらく、…いや、絶対に。
冬間は、こんな姿の万里先輩を知らないだろう。
「…上等ッスよ。
一分もたたないうちに、片づけてきます」
「…そう。
ふふ、たのもしいねぇ…」
…何とでも言え。
俺は、…もう、戻れはしないのだから。
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南校舎、体育館。
そこは、すでに使われておらず、ガラス窓は割れ、カビ臭く、ゴミがあたり構わず散乱している。
…ゆえに、普段は誰も近づかない場所だ。
ケンカをするには、ある意味もってこいの場所ともいえる。
「…待ってたぜ、佐倉」
「…」
…もう、戻れないなら、
「わざわざ来てくれるなんてなぁ、感謝のココロでいっぱいだぜ」
もう、戻れはしないのだから、
「、聞いてンのかぁ?!」
俺は、…全てを捨ててみせるから。
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