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…雅也は、それに気づかずに。
男が、近くにあったナイフを、握りしめて…
雅也、の
「雅也くんっ!!」
「、あ…?」
…冬間?
何で、ここに。
…つーか、この光景…前にも見たな。
冬間が、俺をかばって、
…かばって
ドサッ、!
ぼんやりとしている意識。
その目の前で、めまぐるしい早さで展開を見せる…出来事。
…あぁ、前と違うのは。
冬間が、
前よりも多くの血を流して倒れているということ。
「…あ?」
何で、…俺は
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バキッッ!!!
「っやめてください!
万里さん!!」
自分より背の高い青年…冬間 万里に殴りとばされて。
雅也は、盛大に床を転げまわり、壁に勢いよく衝突する形となる。
苦しげに深くせき込んで、うつろになりつつある意識を、必死につなぎとめる。
ヒュー、ヒュー、と、気道から酸素がもれているような音すら、
「雅也…てめェ、いい加減にしろよ?
バカだバカだとは思ってたが…ここまでとはな。
…何のために、夕映にお前の居場所を教えてやったと思ってるんだ」
「っかは、…」
「雅也兄さん…」
ユカリは、それを心苦しげに見つめていた。
ここは、夕映の病室の前。
男のナイフは夕映の腹部を深くえぐり、出血が多量のため、緊急入院することになったのだ。
「…っ」
「何か言いたげだな?
俺を納得させるような言い訳、言ってみろよ」
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