06.戻れない。

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…雅也は、それに気づかずに。 男が、近くにあったナイフを、握りしめて… 雅也、の 「雅也くんっ!!」 「、あ…?」 …冬間? 何で、ここに。 …つーか、この光景…前にも見たな。 冬間が、俺をかばって、 …かばって ドサッ、! ぼんやりとしている意識。 その目の前で、めまぐるしい早さで展開を見せる…出来事。 …あぁ、前と違うのは。 冬間が、 前よりも多くの血を流して倒れているということ。 「…あ?」 何で、…俺は ----------- バキッッ!!! 「っやめてください! 万里さん!!」 自分より背の高い青年…冬間 万里に殴りとばされて。 雅也は、盛大に床を転げまわり、壁に勢いよく衝突する形となる。 苦しげに深くせき込んで、うつろになりつつある意識を、必死につなぎとめる。 ヒュー、ヒュー、と、気道から酸素がもれているような音すら、 「雅也…てめェ、いい加減にしろよ? バカだバカだとは思ってたが…ここまでとはな。 …何のために、夕映にお前の居場所を教えてやったと思ってるんだ」 「っかは、…」 「雅也兄さん…」 ユカリは、それを心苦しげに見つめていた。 ここは、夕映の病室の前。 男のナイフは夕映の腹部を深くえぐり、出血が多量のため、緊急入院することになったのだ。 「…っ」 「何か言いたげだな? 俺を納得させるような言い訳、言ってみろよ」
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