01.冬間夕映。

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むしろ、必然的ともいえる。 「あ、の…佐倉さんは、何をしているんですか…?」 「…あのさ、『佐倉さん』ってやめねェ? 同学年だし、呼ばれなれてねぇンだよ。 雅也でいい」 「…え? …あ、では…雅也…くん?」 「…おぅ」 面倒くさい問いかけの矛先を、そらすためだけに持ちかけた話題だったが、 …なんか思ったより恥ずかしいな… 「私のことも、好きに呼んでくださいね…? あの、冬間 夕映と申しま……」 …トン、 雅也の細長い指が、夕映の唇におかれた。 「…もう知ってるっつーの…冬間」 「! …はい…っ!」 とても、うれしそうに笑う冬間。 …なんで 「で、では…雅也くん!」 「…なンだよ」 「雅也くんは、ここで何をしていたんですか?!」 …話題戻るのかよ 「サボりだよ、サボり。 …つーか、冬間こそ何やってんだよ。 もう授業はじまってンだろ?」 「、えっと… 中庭に、雅也くんの姿がみえたので… …えと、『お目付け役』…ですから」 「…ふぅん」 拳をにぎりしめながら、必死に力説している冬間は、 …やっぱり少し可愛かった。 「…戻らなくていいのかよ?」 「雅也くんが戻るなら、私も戻ります」 「…一生戻らねェかもよ?」 「…今は、雅也くんと一心同体なのですよ」 …… 「…俺に、教室戻ってほしいか?」 「戻ってくださるんですか?」 「…あぁ、条件付きで…、な」 「? …雅也く、…」
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