01.冬間夕映。

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無理矢理、かさねた唇。 あまくて、にがい。 罪悪感、なんてのは…ない。 …お前が悪い 「…俺に、教室に戻ってほしいなら…抵抗するなよ」 かさねていた唇をゆっくりと離すと、雅也は、夕映を芝生へ押したおした。 雅也が、ネクタイをゆるめる。 …俺のこと、怖がればいい 他のヤツらみたいに …だから、これ以上、俺の中に入ってくるな… 「冬、…!」 「……っ…」 夕映は、抵抗するわけでもなく…目をかたく閉じたまま、微動だにしなかった。 …否、ふるえていた。 目尻には、うっすらと…涙さえうかがえる。 「…冬間…」 「…大丈夫、ですよ…。 …あの、雅也くんが、…教室に戻ってくれるなら、私…」 …嘘、つけよ 「…冬間」 「…え…?」 雅也は、自分がきていたジャケットを脱ぐと、それで夕映をつつんだ。 「? 雅也く、…」 「ッの……バカ!!」 「へっ?! …あ、あの…?」 「他のヤツだったら、とっくにヤられてたぞ! …マジふざけンな…ッ」 「……」 コイツは、本当に抵抗しないのだろう。 泣きながら、 震えながら、 …それでも 「…、チッ」 雅也は、不意に舌打ちをひびかせると、夕映の腕をつかんで立たせた。 夕映の目が、丸くなる。 「、あの…?」 「…行くんだろ、教室。 さっさとしろ」 「、あ …はいっ…!」 あまりにも、うれしそうに笑うから …心臓が跳ねた気がした。
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