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…冬間が、よろこぶ…
「!
っ流されてんじゃねーよ、俺!」
まるで、邪念を振りはらうかのように声をあげて。
手中にあるペンダントを強く握りしめながら、歩く早さを上げていった。
…俺だって、好きなひとを喜ばせてやりたいという気持ちくらい…ある。
誰だって、好きなひとを悲しませるよりかは、喜ばせたいと願うのは…当たり前のことだ。
「…クソ。
結局流されてんじゃねーか…」
どこか悔しそうに眉をひそめながら、茶糸の髪をかき乱す。
「…雅也、くん?」
「!」
後ろから聞こえたのは、誰よりも守りたいと願うヤツの声。
振りかえっても、その姿は…当たり前に、彼女のもので。
「?
あの、…?」
…覚悟、決めるか。
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