08.初デート。

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たったの二文字を。 たったの、二文字だけれど。 俺にとっては、何よりも大切で…何よりも、愛しい言葉。 …だから、 ------------ いまだ、何も言わず、ただ黙って自分を見つめる雅也に疑問を持ちながらも、夕映は口をとじて、その続きを待った。 …雅也が、一歩だけ…歩み寄る。 「ゆ、……冬間。 もっと、こっちに来い」 「え? …あ、はい…」 一瞬だけ、つむがれた言葉。 羞恥によってせき止められたソレを不思議に思いながらも、うながされるがまま、夕映はゆっくりと雅也に近づいていく。 「…そのまま、後ろ見とけ」 「? 、…?」 はてなマークを頭に浮かべながらも。 それを断る理由が見つからず、夕映は雅也に背を向けて。 …雅也が、夕映の白いうなじに、指先をすべらせた。 「、ひゃ…っ」 「っ変な声出すな、…バカ」 「す、すみませ… …っでも、雅也くんがいきなり触るから…っ!」 今、正当なことを言っているのは、まぎれもなく夕映なのだが。 雅也が自分の失態を素直にみとめるワケがなく、ごまかす様に、声を張りあげて。 「、あの…うなじが、どうかしたんですか…?」 これ以上、雅也に抗議をしてもかき消されてしまうと判断した夕映は、先ほどから持っていた疑問を投げかける。 雅也は、『…別に』と、簡易、プラスそっけない声色で言葉を吐きすてて。 …なら、なぜ触るのか。 こんな疑問が生まれるのは、当たり前で。
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