風が吹いた

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由紀たち3人は浩二が通う大学のグランドに来ていた。 色々なサークルの人が思い思いのスポーツを楽しんでいる。 「一番奥の所で練習してるみたい。 俺、先に行って着替えてくるから。」 浩二が走ってグランドに向かう。 一時して呼ばれた由紀と知佳はフットサルの練習をしている人たちの方に歩いて行った。 元気な声が響きわたり、ジャージに着替えた浩二がこっちに手を振っていた。 浩二の方に向かいながら、由紀の目に背が高い黒髪の男が映った。 浩二の後ろに立つ彼もこっちを見ている。 ……ドクン……… ……あれ? 由紀は胸に変な高鳴りを感じた。 ……気のせい? ドクン…ドクン… まだ遠くて顔も見えない。 なのに何故か心臓がバクバクする…。 ドクン…ドクン… 一歩ずつ彼に近寄る度に、胸が高鳴る。 まだハッキリと顔は見えない。 ドクン…ドクン… ドクン…ドクン… 何故だか懐かしいような、何故だか愛しいような… 彼の顔がハッキリと見えたとき、由紀は思った。 “やっと会えた…” “やっと会えた……” 彼の目の前に立った時… 5月の爽やかな風が、吹いた。
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