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『……ありがとう………。』
気持ちだけ伝えて去ろうと思った。
きっとすぐに追っ手が来る。
『どこ行く気じゃん?……行くとこあるのか…?』
そんなトコあるはずない。僕が帰る場所は悲劇と殺戮の渦。
僕はそこから逃げて来た。どこにも行く場所はない……。
『……名前は?』
『……………照美。』
『イイ名前じゃん!オレはカンクロウだ。』
カンクロウと名乗った男は僕を抱き抱えて砂の舞う里に連れて来てくれた。
カンク『行くとこねぇならオレんとこにいるといい……疲れが癒えたら…どっか好きなとこ行けよ。』
それだけ言って人形の沢山飾られた部屋のベットに僕を寝かせて出かけて行った。
照『………。』
静かな部屋に独り。
でも…………嬉しかった。僕に優しい言葉をかけてくれた人は初めてだったから…。
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