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否応無しにあの場面がフラッシュバックする。
確かに…あれを見てしまったら…無理だ…
「でしょう。彼女ゎ最初からあなたのご主人が目当てだったんですよ」
俯く。
現実を語る彼の言葉が痛くて顔を上げていられない。
考えてみれば当たり前に気付くべきだった。こんな馬鹿げたゲームの果てになにがあるのか。
もっと考えるべきだったのだ。けれど後の祭り。
私が退屈を嫌い招いた結果だ。
「もしかしたら…事前にご主人にゎ手を出していたのかもしれませんね。あるいゎーー」
「やめてっ!!!!!」
ほんとに痛い。彼の言葉がグサグサ刺さって重くて苦しい。
「やめてよぉ…」
何をやめてほしいのかゎ具体的にわからない。
彼の言葉を止めたかったのか。
くり返し巡るフラッシュバックを止めたかったのか。
又は流れる涙を止めたかったのか。
私のせいなのゎわかってる。
けれど、それでも信じていたかった。
瑞希を
夫を
こんな簡単に裏切ったなんて思いたくなかった。
「すみません…」
泣き崩れる私に彼が申し訳なさそうに言った。
「あなたゎ悲しくないの…?」
彼に問い掛ける。
彼の話しぶりゎ私への同情だけがあって自身の悲しみがない気がした。
「覚悟…してましたから」
彼ゎ困ったように笑った。
「そんなの…おかしい。」
少し彼を睨む。すると、彼ゎその顔のまま
「いいえ。私ゎ、それ以上に彼女が好きなだけですよ。」
と言いのけた。
…私ゎ目を丸くして驚いていたと思う。
彼ゎ「それが愛でしょう?」と言わんばかりの笑顔だ。
「な、んで…?」
…わからない。
なんで信じていられるのか私にゎ理解できない。
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