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72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/30(日) 05:31:34.93 ID:3qmHaia70
男「最後に一つお願いがあるんだ」
竜「…何でも、言え。必ず、叶えて…やるから…」
男「自分が竜であることを呪わないでいてくれないか。
自分の身を呪って生きるのは…とても悲しい事だ」
竜「…そんな、こと…できるわけが…!」
男「必ず、叶えると言ったはずだ」
竜「…っ」
男「…すまない。辛い事を頼んでいるのかもしれない。
でも、私が愛した者は幸せでいてほしいんだ。
私が、とても幸せだったのだから…」
竜「わかった、わかった…だから、もう無理に喋るな」
男「…お前の声を聞いていたいんだ」
竜「こえ、を」
男「…ああ…視界が、ぼやけてしまって、顔が、見え、ない。
せめて、声、を…」
竜「私はここにいる。ずっとそばにいる」
男「ああ…、私もずっと…そばに…」
竜「だから…死なないでくれ…!」
男「…すま、ない…」
73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/30(日) 05:34:48.01 ID:3qmHaia70
竜の巣と言われる洞窟の中。
大きな竜が一匹。
竜「あれから…どれくらいが経ったのか」
竜「目を覚ませば、お前の姿を探してしまう」
竜「けれど、私は幸せなんだろう…」
竜「お前に会えて、愛し合えた事は幸せだった」
竜「それだけは疑いようもない」
竜はその身が朽ちるまで、天に昇った夫の姿を思い浮かべていたという。
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