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(…後ろは盛り上がってるみたいだな)
幸谷は運転しながら苦笑する。
何を言ってるかまでは聞こえないものの、話し声は運転席まで届いた。
「…うん?なんだ?」
前方に光が見える。車のヘッドライトの様にも見えるが対向車なのに車線が一緒なのは妙だ。
幸谷はとりあえず、車線を確認する。
どうやら、あちらも同じ車線を走ってるようだ。
(チッ、車線を間違えてるのか?仕方ない…)
幸谷は仕方なく車線を変更しようとしたー。
しかし、何故かハンドルが何かで固定したかのように動かない。
「クソッ、ハンドルが動かない!!」
幸谷は焦りを抑えてブレーキを踏むが、ブレーキも一切かからなかった。
「駄目だ!!ぶつかる!!」
幸谷は目を瞑る。
と、同時にもの凄い轟音と横揺れー。
幸谷は死んだなっと一瞬思ったが、身体が何ともない事に気づき、恐る恐る目を開けた。
外は真っ白だった。先程の光と全く同じ色の中を、車は走っていた。
そして、幸谷は理解した。
この車は先ほどの光の中を進んでいる。
(…なんなんだ、これは??俺は夢でも見てるのかー)
幸谷がそんな事を考えているうちに、車は光の中を抜けた。
その後、光は嘘だったように消え現れたのは木々の鬱蒼と茂った森。
幸谷はとりあえず、ブレーキを踏む。
車は何事もなかったかのように止まった。
幸谷はとりあえずナビをつける。
現在地が日本なら、大抵の場所はナビで解るはずー。
そう考えての行動だった。
しかし、そこに現れた文字は…
現在地の確認は出来ませんでした
というものだった。
(電波が悪いのか?それとも、磁力の影響か?…まさか、別の場所に移動した訳ではあるまい…)
そこまで考えて、幸谷は考えるのを止めた。
今、一番重要なのは親友達の安否だ。
「とりあえず、後ろを確認に行くか…」
幸谷は誰に言うでもなくそう呟くと、四人のいるリビングへ向かった。
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