序章~漂流~

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幸谷が後ろのドアを開けると、先ほどの横揺れが嘘であったかのように、車内は整然としていた。 あまりの驚きにポカーンとしていた幸谷だが、親友の声に現実に戻される。 「おっ、幸谷か。さっきの揺れ凄かったな。何があったんだ?」 やはり現実だったかと思いつつ、幸谷は宏隆の質問に答える。 「言っても信じないだろうがな…」 幸谷は今までのいきさつを話した。 「…俄かには信じられない話しだけど、嘘を言う理由も無いしな」 和之は溜め息混じりにそうもらした。 「えっと、一応確認しときますが、ここが何処かは全く解らないって事ですよね?」 亜紀の質問に幸谷は苦々しく頷き言う。 「…ああ。その上、磁力の影響か、携帯まで使えないときている。困ったものだ」 それを聴いた奈央は 「どうすんのよ~!!仕事の休み、3日間しか取ってないのに~」 と社会人らしい悲鳴を上げる。 それに続くかのようにみんな溜め息をついた。 「…つうか、遭難したとはいえ、幸谷の話を聞く限りじゃあ、そんなに目的地からは遠く無いはずじゃね?」 宏隆の言葉に和之は頷く。 「それに、幸いここには食料も寝床も揃ってる。今日はもう遅いし、ご飯を食べてゆっくり寝て明るくなったら辺りを回ってみよう」 みんなは頷いた。 「…そうと決まれば、みんな夜飯の準備をしようか!」 「「「オ~!!」」」
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