序章~漂流~

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今日はキャンプの定番であるカレーだ。 「…幸谷」 「…何だ?」 「…いや、それは何?」 幸谷は目線を一度下に移し、答えた。 「マグロだ」 そこには、テーブルを埋め尽くさんばかりの大きさのマグロが置いてあった。 「何で、マグロがこんな所にあるんだよ!!」 宏隆のナイスなツッコミに一瞬たじろいだ幸谷だったが、少し間を置き言った。 「…今日の朝、市場で競り落とした。」 宏隆は驚愕の表情を浮かべる。 「競り落としたって、そんな金どこにあるんだよ!!」 「企業ー」 「んな訳あるかー!!」 そんな二人の様子を見て、他のみんなは苦笑した。 「まったく、カレーに入れる具材をここまで豪華にするとはね~」 いつの間にかエプロンを着用した奈央は、そう言ってテーブルに目を落とす。 伊勢エビ、ホタテの貝柱、シリヤケイカ、そして最高級の黒マグロー。 「幸谷ならやりかねないとは思ったけどー」 「まさか、ここまでするとは思いませんでしたね~」 どうやら、亜紀も同じ事を思っていたらしく、そうもらした。 そこに、顔全体に悩ましさを貼り付けた和之が現れて言った。 「幸谷にスパイスの調合任されたんだけど、どれを調合すれば良いか解る?」 それを聞いた女性陣は一度顔を見合わせー、溜め息をついた。 「幸谷~!!マグロはいいから、アンタがスパイス調合して来なさい!!」
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