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何はともあれ、カレーは完成した。
外で食べたい、という女性陣の要望で食事は外で食べる事にした。
火を焚きそれを囲むように皆は座る。
「一時はどうなるかと思ったけど、何とかなったね…」
和之の言葉に皆は頷いた。
「まったく、シーフードカレーの材料を買ってきたって聞いた時は、まさかとは思ったけどさ~。アンタちょっとやりすぎ~」
奈央の言葉に幸谷は申し訳なさそうに呟いた。
「…すまない」
「まあ、良いじゃないですか?そのおかげで普段食べられないようなカレーが食べられる訳ですから」
亜紀はそう言って微笑んだ。
「まあ、それもそうね…」
奈央も亜紀の言葉に納得したのかそれ以上何も言わなかった。
「星が綺麗だな…」
空を見上げながら和之は呟く。
皆もそれに続くかのように空を見上げた。
「うわ~、マジ綺麗…」
「綺麗ですね…」
「すげ~…」
…ガザッ。
「…何者だ!!」
他の4人は全く気付かなかったのだろう。
茂みの方を鋭く睨みつけながら、幸谷は叫んだ。
「ちょ、ちょっと!!いきなり何なのよ~!!」
奈央の反応は当然の事だ。
幸谷は目線を変えずにそれに答えた。
「今の物音は四足歩行の生物の物ではない。明らかに二足歩行の生物の物だ。そこにいるのは解っている!!姿を現せ!!」
「チッ…」
舌打ちしながら、現れたのは8人の男達。
ただ、格好がおかしい。
何と言うのか、ボロボロのマントのような風避けで体をすっぽりと包み込んでいる。
チラリと見える手にはナイフが握られていた。
「お前ら、この世界の者ではないな?」
1人の男がそう言う。
ただ、その口元は不自然に動き、まるで映画の吹き替えのようだった。
「おっさん、なに言ってんだ?ここは日本だろ?」
宏隆は苦笑しつつ言う。
それを聞いた男達は一斉に笑い出した。
「何がおかしいんだよ!!」
宏隆の叫びに1人の男が答えた。
「ここは、ニホンではない。そして、この世界にはニホンという土地は存在しない…」
それに続くように別の男が言った。
「前も、ニホンとかいう所から来た奴がいたな~。魔法も使えない、良い鴨だったのを覚えている」
そして、男は手の平の上に火の玉を作り出した。
「マジック…では無いみたいですね…」
亜紀は、険しい表情で呟く。
「そうみたいだね…。奈央と亜紀は車の中に入って、正直この状況はマズい」
「えっ、てかあんた達はどうすんのよ!?」
奈央の問いに答えたのは幸谷だった。
「…ここで食い止める」
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