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「…宏隆、お前は奴らの視線を一瞬でいいから集めろ」
男達が亜紀と奈央の方に目を向けた時、幸谷はそう呟いた。
「それをしたら、どうにかなんの?」
宏隆の問いに、幸谷は軽く頷くと右側にある物を親指で指差した。
そこには、奈央の一言により捌くのを断念したマグロと黒い筒が転がっていた。
「…あれって釣り竿じゃないねぇのか?」
幸谷は首を振る。
「それを俺が拾えば良いんだね??」
和之の言葉に幸谷は頷いた。
ーそして、作戦を実行し今に至る。
相手が呆気にとられている間に、幸谷は隣にいた男に接近し切り上げた。
ズバァ!!!
薙いだだけでそんなに切れる訳はないが、相手を驚かすには充分だ。
幸谷は有無も言わさず男を蹴り倒した。
ドコッ!!!
物凄い音に幸谷が目をやると和之が、マグロ包丁の鞘で男の腹に突きを放ってる所だった。
食らった男は、前かがみに倒れて悶絶した。
幸谷は、行動が完全に遅れた男達にマグロ包丁を突きつけ言った。
「魔法など使えくても戦える。まだやるか?」
幸谷の放つ殺気。それが勝負の決め手になった。
「クソ!!お前ら、引き上げるぞ!!」
1人の男がそう叫び逃げ出すと、他の男達も一斉に走り出した。
和之は男達の姿が見えなくなるまで睨み続けていたが、いなくなった途端、座り込んだ。
「…何とかなったね」
「…ああ」
幸谷は頷いた。
「マジで死ぬかと思った~」
宏隆もそう言って座り込んだ。
そこに、女性陣が駆けつける。
「皆さん大丈夫ですか?お怪我はありませんか??」
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