寄生のライフサイクル

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さて、寄生生物の話を引き続き行うとしよう。 生命の繁殖のライフサイクルについての話をしましょう。 ミニマムは何か分かるかい?誰か…  (生徒:「幼生=成体=出産、もしくは産卵のサイクルです。」) ありがとう、ほぼそれで良いだろう。 先週話した「単細胞生物」の話をのぞけばね。単細胞生物だともっと簡単だ。 「未成熟体=分裂」 これは極端な例だね。では、そのライフサイクルについて、「必要条件」があることは理解できるだろう? ここでは、ある寄生生物のライフサイクルを見てみよう。 多くの寄生生物、特に、多細胞生物のケースでは「補食」によって宿主に取り込まれる。 ここで紹介するのは「ハリガネムシ」です。 なぜそんな名前なのかは後ほど説明することにしましょう。 この、ハリガネムシという虫は、カマキリ、特に日本国内で見られるケースではハラビロカマキリを宿主とする事が多く報告されています。 カマキリだけではなく他の昆虫、また、鱒科のの魚に寄生した例も報告されているようですが、ここではカマキリのケースを取り上げます。 このハリガネムシのライフサイクル中、卵~幼生期は、水中である必要があります。 ではどのようにカマキリに寄生をするのでしょうか? ハリガネムシの成体は水中で産卵します。 その幼生は、カゲロウのような、幼生期に水中で過ごす昆虫に補食され、一時的な宿主とします。 その羽虫が、カマキリに補食され、ハリガネムシは、カマキリの体内で成長、成体となります。 ここからこのライフサイクルの疑問を見ていきましょう。 ハリガネムシは、一次宿主、カゲロウの体内でなぜ成体にならないか? 物理的に、なりえないのです。 ハリガネムシは、体幅1mm程度ですが、体長は、1m近くにもなるケースがあるからです。 つまり、カゲロウは「入れ物」として、不適格なのです。 カマキリに補食された、成体になったハリガネムシの産卵先は、水中です。 では、どうやって産卵するのか? 人間に寄生した寄生生物の場合は卵をとりあえず人間の体内で産み落とすそれが、その卵がそこで孵ってもそこで成長できますし、排泄されてまた別の人間に入るケースもある。ライフサイクルとして完結できるのです。しかし、カマキリの体内にいるハリガネムシはここで産卵することができません。 なぜなら、カマキリは長くても2年程度の寿命しかないからです。
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