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歓楽街に建てられたココ菊水館は、遊女皆が男という一風変わった遊郭や。
ココに来る客どもはみんな男を買いに来る変態ばっかり。
まぁ、そんな変態相手に身体売るんやから俺らのがよっぽど頭イカレとんかもしらん。
菊水館に売られて10年、恥じも抵抗も、俺を売った親への憎しみも忘れた。
菊水館で働いてる奴らはみんな色んな事情を抱えて働いてる。
俺みたいに親に売られくる奴、借金の返済の為に働いてる奴、趣味で働いてる奴。
みんな生きる為、自分の居場所を得る為。
必死や。
「ねぇさんねぇさん!」
「ん?何、ナオキ…っつかお前仕事以外でねぇさん言うなや。」
「もぉ、いちいち細かいわぁイチくん!ってかな、今日ヤマちゃんが新しいお客様連れてくんねんてー!」
「ヤマちゃんってあのサキのお客さんの?」
「せやでー!男前やったらええなぁ。」
そんなんはどうでもいい。どんなに顔がよかろうと、俺らを買いに来るんは男好きの変態男。
そんな変態相手に足開いて金巻き上げる。
最低やな。
「ヤマちゃんもまぁまぁ男前やのにサキさんにしか興味ないねんもんー!」
「お前サキの客狙うなや…。サキよりいっぱい客抱え込んでるくせに。」
「イチくんに言われたないよ。」
「ナオー!イチー!仕事やでー。」
「はーい。」
「…。」
支配人に呼ばれ、重たい着物を引きずって立ち上がる。
檻みたいな部屋の外から今日も品定めする男ども。
吐き気がする。
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