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「白井さん、何してんの?」
私の視界に入ってきたその人は、少し色素が薄めのサラサラの髪とくりくりした大きな瞳の持ち主だった。
そう、要するに。
「ひゃー!?三谷先輩ぃい!!」
どうやら慎重に作業を進めるあまり、時間がかかりすぎたみたいだ。
望美は二年三組の靴箱の影から、複雑な表情でこっちを見ていた。
三谷先輩も大きな瞳を困惑させて私を見ている。
「あの、その、ワたし、手紙ヲ渡そうと思ッ……」
二つの視線を受けて、私の思考は混乱する。
目尻に涙が滲み、半泣きになっているのがわかった。
「え、手紙?」
三谷先輩は、ガコッと音を立てて靴箱を開けた。
白い封筒が蝶のように空中を漂って、三谷先輩の足元に落ちた。
手紙は淡いハートを上に向けていた。
三谷先輩は特に気にした様子もなく、手紙をつまみ上げた。
「手紙ってこれ?」
私の前でハートマークをひらひらさせる三谷先輩。
顔から火が出そう、とはこういうことか……
先輩、貴方のそんな所が大好きですが、今の私は貴方の無邪気さと鈍感さが憎らしいです!
私は俯き加減に頷いた。
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