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『ちょっとあんたのせいであたしのカバン持ってかれちゃったじゃないのっ!どうしてくれんのよっ!』
『…っ』
『なんとかいいなさいよ!』
ありえない。ありえない。
本当にありえない。
あともう何メートルか走れば、あたしの足の早さなら絶対に追いつけたもの。
なのに…なのに…
たしかにあたしにも非があるかもしれないけれど、そんなことを考えられる余裕なんてなかった。
黙ったままの男の子にたいし、イライラは募る一方だった。
『あんたさぁ、すみませんくらい言ったらど…』
そんなふうにしているとふいに携帯が鳴った。
なんなのよって思いながらも運よくポケットに入っていた携帯をとりだし、勢いよくボタンを押し電話にでた。
番号はしらない番号からだった。
『はいっっ』
『三波日向(ミナミヒナタ)さんですか?』
『そうですけど…』
『警察ですけど…ちょっと今伝える場所まできてくださいませんか?』
え?なにそれ。
…でもまあ…行かなくてはいけない。
とりあえずこの男にもおとしまえつけてもらわなくちゃだから…
あたしは立ち上がってその男の子の手を無理矢理引っ張って立ち上がらせる。
『アンタもちょっと来なさいよ!』
『!?』
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