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高校一年生にしてあたしはただ今一人暮らし中。
まぁ親からの仕送りも多少はあるけど、バイトで稼いでいるのがほとんど。
そして今日は待ちに待った給料日で、あたしはお金をおろしに行っていた。
そのあとに引ったくりに合ったわけで、本当にこのカバンがなくなったら大変なことになっていた。
今月の生活がなにもできなくなるところだった。
にしても、彼は本当に何も話さない。
何もしゃべらない。
『あ』とも言わない…。
ためしにあたしから話しをかけようとした、そのときだった。
『千秋(チアキ)様!』
突然後ろから声が聞こえてきた。
男の人…。
その人がきたほうには胴長の車がとまっていた。
そして今の今まで一緒にいた彼にむかって、名前をよんだってことは…家族の人かな?
『探しましたよ。心配しました…勝手に家を出られては困ります。いきましょう』
千秋…っていうんだ。
千秋はその人にうながされて車につれていかれていた。
千秋は車に乗る瞬間、あたしのほうをみてきた。
なんだか…悲しそうに、寂しそうにみえた。
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