不思議な人

6/12
67人が本棚に入れています
本棚に追加
/212ページ
『なんだったんだろー…』 家に帰って夕飯をひとり作りながら、あたしは今日出会った彼のことを思い出していた。 金に近いような薄い茶色い短い髪。 純粋で綺麗な、瞳。 掴んだ腕…細かったな。 しかも体重も軽かった。簡単に引っ張って立ち上がらせることができたくらいだから。 華奢な人…。 変なやつ。 千秋。 なんにも言わない。 しゃべらない人。 人見知りなのかな? それとも、もともと無口なのかな? どうなんだろう? 考えごとをしていたあたしは、鍋が噴いていることに気がついてなかった。 『うあーっっやばいーっっ』 …また、どっかで会えるかなぁ? あたしはそう思っていた。 それが千秋との出会いだった。 ベタすぎて少女マンガかよって思ったりもしたけど、確実にあたし達は運命的な出会いをはたしたのだった。
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!