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「名は何と申しますか?」
ゆったりとした女性の声。
彼は紫の布で囲まれた小さな部屋にいた。
「シオ……アールシュッツ……です」
湾曲して垂れる絹のような布。
床に敷かれた赤い絨毯。
香〔こう〕を炊いているらしく、細く長い煙りが部屋を甘く香りだてていた。
そんな部屋の奥中央に座る女性。
黒いシルクの布を全身にまとったその姿はまさに妖艶と言うにふさわしかった。
「私〔わたくし〕は鑑定士、ルルと申します。
そう緊張なさらず、お座り下さい」
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