~鑑定士~

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「うっ、うん……」 行くわよ。とイオラに呼ばれ立ち上がるシオ。 御印が現れない意味をルルから聞かされていなかったこともあり、二人の笑顔は気休め程度にはなった。 しかし、あのルルの一瞬強張った表情を頭からぬぐい去るほどではなかった。 『あれはどんな意味だったんだろう……』 自分一人では到底理解することは出来なかった。 さらに、二人に相談しようにもその気にはなれなかった。 仕方なく教室に入るまでの間、シオは黙って二人の後を追った。 そして、 『深く考えるのはよそう』 そう自分に言い聞かせ、彼は不安を胸の内へと鍵をかけるようにしまうのだった。
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