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リーーン、リーーン
二限目の始まりを告げるチャイムが流れた。
「……ごめんね。もう大丈夫」
涙で顔を汚した彼女の表情はどこかすっきりした様子だった。
「使えよ」
そこには何の柄もついていない水色のハンカチ。
「出すの遅いよ」
くすっと笑いながらありがとうとハンカチを受け取る。
「まさか、シオからハンカチを借りるなんてね」
そう涙をきれいに拭き取りながら話す。
いつもの明るい彼女がそこにいた。
「何だそれ。男が持ってたら変か?」
ほっとする心。
自然と笑顔がこぼれた。
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